- 非エンジニアの薬剤師でも、AIと一緒に業務改善アプリを作れる
- 私が半年で作った「5つの仕組み」とそのきっかけ
- 「現場を知る薬剤師×DX」がキャリアの武器になる理由
- スキルと年収は必ずしもイコールではない、という正直な話
「薬剤師がアプリを作る」と言うと、たいてい驚かれます。
私はプログラミングの学校に通ったわけでも、情報系の出身でもありません。ごく普通の管理薬剤師です。それでも、この半年でAIと一緒に業務改善の仕組みを5つ作り、実際に職場で動かしています。
大げさな話ではなく、きっかけはどれも「この作業、めんどくさいな」という現場の小さな不満でした。それをAIと対話しながら一つずつ形にしていったら、いつの間にか5つになっていた、という感じです。
この記事では、その過程と、やってみて気づいた「これはキャリアの武器になるかもしれない」という実感を、正直にお伝えします。
きっかけは「現場のめんどくさい」だった
最初に作ったのは、シフト関連の仕組みでした。エリアマネージャーになって複数店舗のシフトを見るようになり、毎月「どう組もう」と頭を抱える時間が増えたんです。
売上の集計もそうでした。毎日の売上を手入力して、月末にエクセルにまとめ直して社長に提出する。この転記作業が地味に重くて、ミスも起きやすい。「これ、自動化できないかな」と思ったのが始まりでした。
大事なのは、私が「作りたいもの」を誰よりも具体的に知っていたことです。現場の薬剤師だからこそ、何が面倒で、どこを直せば楽になるかが手に取るようにわかる。これが、あとで効いてきます。
てつん「便利なアプリを作ろう」じゃなくて、「自分のこの面倒を消したい」から始めたのが良かったのかもしれません。
動機がはっきりしていると、AIにも頼みやすいんです。
AIと半年で作った「5つの仕組み」
技術的な細かい話は抜きにして、実際に作って動かしているものを紹介します。どれも「現場のめんどくさい」から生まれたものです。
- シフト管理:複数店舗をまたいでシフトを組み、残日数や有休申請をLINEで配信
- 売上集計:毎日の入力から、提出用エクセルを自動生成(転記ゼロ)
- 来局患者の記録:来局・処方・服薬支援の記録をデジタル化
- 月報の作成:提出フォームそのものを自動で出力
- 店舗の公式LINE:現場スタッフ・患者さんとの連絡導線を整備
たとえば売上集計は、毎日タブレットから数字を入れるだけで、社長提出用のエクセルが自動でできあがります。手で転記しないので、転記ミスが構造的に起きません。実際の1か月分のデータで、全項目がきちんと一致するか検証もしました。
シフトの仕組みは、今は3店舗で動かし始めたところです。うまく回れば全店に広げる予定で、いい手応えを感じています。



「ブロック帳を毎日開いて、どうしようどうしようと唸る」あの時間が減るだけで、現場はかなり楽になります。
時間って、いちばん高いコストですから。
非エンジニアでも作れた理由|AIと「対話」するだけ
「コードが書けないのに、どうやって?」と思いますよね。答えはシンプルで、コードはAIが書いてくれるからです。私がやっているのは、AIと対話することだけ。
「こういう作業を楽にしたい」「ここがうまく動かない」と日本語で伝えると、AIが実際のコードを書いて直してくれます。夜、子どもが寝たあとに少しずつ、対話しながら進めていきました。
ただ、完全な丸投げではうまくいきません。たとえば「新しい機能を作って」と頼んだら、実は過去の自分が半分作っていた、なんてこともありました。AIに任せきりにせず、「今どうなっているか」を一緒に確認する姿勢は必要です。
- 「.envって何?」のような、最初のセットアップでつまずく
- 「バグかな?」と思ったら、実は仕様変更だったりキャッシュだったり
- 無料サービスの制限など、現場に出すと出てくる細かな壁
こうした壁は確かにあります。でも、わからないことをそのままAIに「これどういうこと?」と聞ける環境さえあれば、一つずつ越えていけます。専門知識がないことより、あきらめずに聞き続けられることのほうが大事だと感じました。
作ってみて気づいた「現場を知る薬剤師×DX」の価値
半年やってみて、いちばんの収穫は完成したアプリそのものではありませんでした。「現場を知っている薬剤師が、自分で業務を改善できる」という掛け算の希少さに気づけたことです。
エンジニアは現場の業務を知りません。現場の薬剤師はコードを書きません。その両方を、たとえAIの力を借りてでもつなげられる人は、まだとても少ない。だからこそ価値になります。
実際、転職エージェントの面談でも「薬局のエリアマネージャーの仕事を超えた経験で、転職市場ですぐ評価される」と言われました。薬局のDXや、医療×ITの分野で、こうした人材は求められ始めています。
「現場を知る」×「自分で改善できる」は、まだ希少な掛け算
正直な話:スキルが評価されても、年収が上がるとは限らない
ここは、いいことばかり言っても仕方ないので正直に書きます。「アプリが作れる」ことが、そのまま年収アップに直結するわけではありません。
こうしたスキルが直接活きるのは、たとえば薬局本部のDX推進のような枠です。ただ、こういった枠は薬剤師の専門性を「そのまま」使う仕事ではないため、年収がむしろ下がりやすい職種でもあります。スキル評価と年収アップは、必ずしもイコールではないんです。
このあたりの「企業転職で年収がどう決まるか」という仕組みは、エージェント面談で聞いた内容を別の記事に詳しくまとめました。あわせて読むと、自分の進む方向が見えやすくなるはずです。





「作れます」が即・年収アップではない。
でも、いざという時に自分を選んでもらう理由にはなる。私はそう捉えています。
それでも「作れる薬剤師」は武器になる|今からできる一歩
年収に直結しないとしても、私はこの経験をやって良かったと思っています。現場が楽になり、社内での見られ方が変わり、そして自分の選択肢が確実に広がったからです。
大きなことから始める必要はありません。まずは「自分の現場の、いちばん面倒な作業」を一つ思い浮かべてみてください。それをAIに相談するところから、十分始められます。
そして、もし「この経験を活かせる場があるのか知りたい」と思ったら、転職エージェントで情報収集してみるのもおすすめです。すぐ転職する気がなくても、自分の経験が市場でどう見られるかを知るだけで、次の一手が見えてきます。



「DXに関わる薬剤師の求人ってあるんですか?」と相談するだけでもOK。
無料ですし、自分の市場価値を知る良い機会になります。
よくある質問
- プログラミング未経験でも本当に作れますか?
-
私自身が未経験から始めました。コードはAIが書いてくれるので、日本語で「何をしたいか」を伝えられれば形になります。ただし、完全な丸投げではなく「今どうなっているか」を確認しながら進める姿勢は必要です。
- 職場のデータを扱うとき、気をつけることは?
-
患者情報など、扱いに配慮が必要なデータは特に注意が必要です。会社への報告・許可、保存場所やアクセス範囲の確認を必ず行いましょう。業務で使うものは、勝手に進めず職場のルールに沿って進めるのが大前提です。
- この経験は転職で評価されますか?
-
医療×ITやDXの分野では評価される傾向があります。ただし、スキルが評価されることと年収が上がることは別問題です。どんな枠で評価されるのかは、エージェントなどで具体的に確認するのがおすすめです。
まとめ:小さな「めんどくさい」が、キャリアの武器になる
- 非エンジニアの薬剤師でも、AIと対話すれば業務改善ツールは作れる
- 強みは「現場を知る薬剤師が、自分で改善できる」という希少な掛け算
- スキルが直接年収を上げるとは限らないが、選択肢は確実に広がる
- まずは「現場の一番の面倒」をAIに相談するところから
特別な才能がなくても、現場の「めんどくさい」に向き合い続けるだけで、気づけば自分だけの武器ができていました。同じように現場でモヤモヤを抱えている薬剤師さんの、小さな一歩のきっかけになれば嬉しいです。
あわせて読みたい










※本記事は2026年6月時点の筆者個人の体験談です。業務に関わるツールの開発・運用は、勤務先のルールやデータの取り扱い規定に従ってください。特に患者情報などの取り扱いには、会社への確認と適切な管理が必要です。






